事業承継税制

学科試験では、後半に少し出てくる内容であり、基礎編の問50によく出てきて、応用編の相続分野で出題される類似業種批准法もこの制度を使う場合に使用されることもあります。
そもそも事業承継とは
事業を例える言葉に「Going Concern」というのがあります。
事業は継続的に半ば永久に続いていくべきだということを表しているものだと思います。
事業というのは、商品やサービスを世の中に届けることにより、生活が便利になったとか、喜びを届けることにより、幸福を届けるものだと思います。
また、その仕事に従事している従業員にとっては、生活をしていくうえでの基盤であり、失ってはならないものだと思います。
事業承継税制特例とは、先代経営者から事業の承継を受けた後継者が次の後継者に事業承継できた場合には、相続税や贈与税が免除になる制度です。
これは、相続税や贈与税の負担により、事業を続けたくてもつづ~れないという事態を避けるための施策である思います。
事業承継の方法
事業承継の方法には、大きく分けて3つあります。
①親族内承継・・子息などの親族が跡をつぐ方法 これが、一番オーソドックスな方法だと思います。
②親族外承継・・親族内で承継する方がいない場合、その事業所の役員や従業員に承継する方法
③M&A・・・事業者を買収したい方に売却し、事業を継続してもらう方法
この事業承継税制では、①②のパターンについて説明したいと思います。
③M&Aは改めて、説明を行いたいと思います。
事業承継税制は計画性が必要
ここでは、主にFP試験で出題される、中小企業の事業承継を中心に説明をします。
実際にこの税制を使用される方は、顧問税理士さんなど専門家に相談されながら、指導のもと実施されることをお勧めします。
私は、あくまでFP試験を突破するために、受験生に向けて記していますので、
「この記載は不正確だ」とか「実態はそんなものじゃないよ」ということがあれば教えてください。
根拠法:「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)
そもそも事業承継税制とは
この事業承継は現経営者が後継者にバトンタッチした場合に、相続税が猶予され
後継者が次の後継者にバトンタッチできたら、後継者の相続税が免除される。というものです。
わかりやすく例示すると、親の事業を引き継いだ子が事業を継続し、その子(先代からしたら孫)に引き継げて初めて免除になるというものです。
(ややこしいですね)
また、事業承継税制とひとまとめにして記載していますが、
実際にFP試験に出題される場合
Ⅰ.個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)
Ⅱ.非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)
とあり、Ⅱには特例措置と一般措置があります。
またⅡ.は贈与税と相続税が一緒になっていますが、実際は贈与税の場合と相続税の場合は、若干、要件が異なりますので、注意が必要です。
ここでは、
Ⅰ.個人の事業用資産について
Ⅱ.非上場株式等についての贈与税の納税猶予・免除
について説明をしたいと思います。
Ⅱ.非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(一般措置)
Ⅱ.非上場株式等についての相続税については
過去問を見る限り、出題が稀であるため割愛します。
Ⅰ.個人の事業用資産について | Ⅱ.非上場株式等についての贈与税の納税猶予・免除 | |
事前の計画策定 | 5年以内の個人事業承継計画の提出 (2019年4月1日から 2026年3月31日まで) | 特例承継計画の提出 (2018年4月1日から 2026年3月31日まで) |
適用期限 | 10年以内の贈与・相続等 (2019年1月1日から 2028年3月31日まで) | 10年以内の贈与・相続等 (2018年1月1日から 2027年3月31日まで) |
対象資産 | 特定事業用資産 ①宅地等(400㎡まで) ②建物(床面積800㎡まで) ③②以外の減価償却資産 | 非上場株式等 |
納税猶予割合 | 100% | 100% ※一般措置では総株式数の 最大3分の2まで |
承継パターン | 原則、先代一人から後継者一人 ※一定の場合、同一生計親族等からも可 | 複数の株主から最大3人の後継者 総議決権数の10%以上 |
贈与要件 | その事業に係る特定事業用資産のすべてを贈与すること | 一定数以上※の株式数を贈与すること ※後継者一人の場合、原則2/3以上など |
雇用確保要件 | 雇用要件なし | あり(特定措置は弾力化) |
経営環境変化に対応した減免等 | あり※後継者が重度障害等の場合は免除 | あり |
円滑化法認定の有効期限 | 最初の認定の翌日から2年間 | 最初の申告期限から5年間 |
出所:「経営承継円滑化法【個人版事業承継税制の前提となる経営承継円滑化法の認定申請マニュアル】令和6年4月改訂版」 経済産業省中小企業庁 より作成
それぞれ、事業者、先代経営者、後継者に条件があり質問されます。
また、非上場株式等についての贈与税については、
先代経営者が単独で株主だった場合の贈与(第一種特例贈与)以外にも、先代経営者以外の株主等からの贈与(第二種特例贈与)も出題されることがあるので、注意が必要です。
説明しても混乱するので、読んでくれている人は、もっと混乱しているかもしれません。
注意点は、届出書の提出など事務手続きが煩雑になること。
事業継続が困難な場合は、利子税と猶予された税金の支払いが必要になることです。

難しいね~でも、事業承継税制って言葉は基礎編でも応用編でもたまに見かけるよね。

実技試験のPart1では、ほば毎回、出題されていると思うよ。
受験生は、必ず覚えておく必要があると思う。
応用編の不動産分野の建ぺい率、容積率の出題と同じ位の出題確率かもね。