法人税 過去問 その1

傾向としては、毎回、出題されるというわけではないですが、出題されると時には、2問出題されたりしています。よって、この分野は捨てるわけにはいかないことがわかります。
また、2022年5月試験までさかのぼると8回出題されているため、2回にわけて記事にします。
先ずは、最初の頃に記事にした内容で「税金~日本の家計簿」を紹介します。
抜粋すると、日本の歳入のうち法人税は17兆と所得税と同等の割合を占めています。
所得税 17兆9,050億円
法人税 17兆 460億円
消費税 23兆8,230億円
相続税 3兆2,920億円
公社債 35兆4,490億円
これまで同様、直近から過去に遡りながら、過去の問題と、私なりの説明をしていきたいと思います。
なお、問題は全て、出所:一般社団法人 金融財政事情研究会1級 学科試験<基礎編>となっております。
2024年9月8日 問33
法人税申告書の各種別表に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 法人税申告書の総括表である「別表一」には、法人の事業種目、期末現在の資本金の額または出資金の額、当期利益または当期欠損の額、法人税額、地方法人税額などを記載する。 2) 所得の金額の計算に関する明細書である「別表四」は、損益計算書に掲げた当期利益の額または当期欠損の額を基として、いわゆる申告調整により税務計算上の所得金額または欠損金額を計算するために使用する。 3) 租税公課の納付状況等に関する明細書である「別表五(二)」は、利益積立金額の計算上控除する法人税等の税額の発生および納付の状況ならびに納税充当金の積立または取崩しの状況を明らかにするために使用する。 4) 交際費等の損金算入に関する明細書である「別表十五」には、支出交際費等の額の明細とともに交際費等に係る損金算入限度額や損金不算入額などを記載する。 |
正解1

別表四は応用編でたびたび見るけど、その他の別表って意識したことなかったな。
法人税確定申告書の別表は1から16まであるんだね。

1)これが誤りだね。「別表一」法人の事業種目は記載されてるけど、資本金の額または出資金の額は「別表五」、当期利益または当期欠損の額は「別表四」に記載されるよ。
2)これは正しいね。別表四は応用編でも頻出だから、わかる人多いよね。
3)別表四以外は見慣れないと思うから、答えにくいよね。これは正しいので覚えよう。
4)これも見おぼえないだろうから、消去法で選ぶしかないね。
2)以外は難問かもしれないね。正解は1)だね。
2024年1月28日 問31
法人税法上の益金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人はいずれも内国法人(普通法人)であるものとする。 1) 法人がその有する棚卸資産の評価換えをしてその帳簿価額を増額した場合、その増額した部分の金額は、原則として、益金の額に算入する。 2) 法人が株式保有割合3分の1超100%未満の法人の株式(関連法人株式等)に係る配当を受け取った場合、その額から関連法人株式等に係る負債利子の額を控除した金額が益金不算入となる。 3) 法人が完全支配関係のある法人の株式(完全子法人株式等)に係る配当を受け取った場合、その全額が益金不算入となる。 4) 法人が法人税の還付を受けた場合、還付加算金は益金の額に算入し、還付金は益金不算入となる。 |
正解1

応用編の別表四でさんざん計算してるはずなのに、細かいところを問われると頭をひねるね。わかるものから確実に消していくしかないね。

1)棚卸資産の評価益は益金不算入だよ。利益操作できなくしてるんだね。よってこれが不適切だね。
2)3)これは適切、配当についての記事も最近、書いてるから見てみてね。
4)そもそも法人税は経費でないから、還付金も利益には関係しないね。ただし、還付加算金は還付されるまでの利子なので益金参入可能だよ。
2024年1月28日 問33
企業会計上の当期純利益と法人税法上の課税所得に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 企業会計上の当期純利益に益金不算入項目および損金算入項目を加算し、益金算入項目および損金不算入項目を控除することで、法人税法上の課税所得を算出することができる。 (b) 内国法人から受け取った当該内国法人の株式に係る配当の額は、確定申告書等に益金の額に算入されない配当の額およびその計算に関する明細を記載した書類を添付して申告調整しなければ益金不算入とすることができない。 (c) 企業会計上、減価償却費を損金経理していない場合、償却限度額に達するまでの金額については申告調整で損金算入することができる。 1) 1つ 2) 2つ 3) 3つ 4) 0(ゼロ) |
正解1

こういう問題の場合、文末が「できる」となってたら怪しく、「できない」となってたらその通りのことが結構あるね。基本、税務署は厳しいからね。

(a)日本語をよく読まないと惑わされるね。益金と損金の説明が逆だね。よって不適切。
(b) これは正しい説明だよ、別表四の問題でなにげなく計算してるけど、配当については別表八を作成しないといけないね。
(c)損金経理をしていない場合は、税法上は損金にすることはできないね。
よって正しいのは1)1つ(a)だけだね。
2023年9月10日 問32
法人税における貸倒損失に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。 1) 取引先V社に対して有している売掛金600万円について、V社は債務超過の状態が数年間継続しており、事業好転の見通しもなく、その回収が困難であると認められる場合、当該売掛金について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできない。 2) 取引先W社に対して有している貸付金800万円について、W社は債権者集会の協議決定で合理的な基準による債務者の負債整理が行われ、500万円が切り捨てられることになった場合、当該切り捨てられることになった500万円が貸倒損失として認められる。 3) 取引先X社に対して有している貸付金400万円について、X社との取引を停止した時以後1年以上経過した場合、当該貸付金の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をすることができる。 4) 遠方に所在する取引先Y社とZ社(この2社の所在地は同一市内である)について、再三の支払の督促にもかかわらず、事業年度末現在で弁済がなされていない売掛金が、Y社は5万8,000円、Z社は4万円ある場合、その取立てに要する旅費等が10万円かかると見込まれるときは、当該売掛金残高から備忘価額を控除した97,998円が貸倒損失として認められる |
正解3

不良債権の問題って、解くのにも気が滅入るね。実際にはありえるだろうから頭に入れておく必要があるんだろうけど。

1)貸倒れとして損金経理できるのは担保がある時は、その担保を処分した後だね。
2)債権者集会の協議決定で合理的な基準による債務者の負債整理が行われた場合、損金経理が可能だね。
3)これが認められるのは売掛金の場合であって、貸付金は認められないね。よってこれが不適切だね。
4)備忘価額はY社Z社それぞれ1円ごと控除して、残額を貸し倒れ損失に計上する必要があるね。
よって不適切なのは3)だね。