2024年9月8日 タックスプランニング 基礎編

日常生活を送るうえで、国民のほぼ全員に関係している問題が納税です。
あまり意識していないかもしれませんが、みなさん買い物で消費税を払っています。
また、預金についてる利子からも税金は引かれています。
所得がある方は毎月の給与から所得税が引かれているでしょうし、会社経営をされている方にとって節税対策は重要な課題ともいえるでしょう。
FP試験でも、税金の勉強が最重要といっても過言じゃないと思います。
なにしろ全科目において税金の話題が出てきます。
では、解説を始めます。今回も出所:一般社団法人金融財政研究会です。
問25
《問25》 居住者に係る所得税の配当所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、配当を受け取ったことによる所得は配当所得に該当するものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。 1) 非上場株式の配当は、配当を受け取った株主が有する当該非上場株式の数にかかわらず、その支払の際に、配当の金額に20.42%の税率を乗じて計算した金額に相当する税額が源泉徴収される。 2) 同一銘柄の非上場株式の配当で、1回の配当金額が10万円で配当計算期間が6カ月であるものを年2回受け取った場合、いずれの配当についても確定申告不要制度を選択することができる。 3) 同一年中にX社株式の配当20万円とY社株式の配当20万円を受け取り、確定申告において、それぞれの配当金額とあわせてX社株式を取得するために要した負債の利子30万円を申告した場合、配当所得の金額は20万円となる。 4) J-REIT(上場不動産投資信託)の分配金に係る配当所得は、総合課税や申告分離課税を選択することができ、総合課税を選択した場合、配当控除の適用を受けることができる。 |
正解1

本気で株式投資をしている人にとっては配当所得が生活の一部になっている場合もありえるね。FP試験でも、基礎編、応用編ともに頻出だし、税率にはいつも悩まされるね。

1)これが正解だね。所得税+復興特別所得税で20.42%は暗記必須だね。復興特別所得税2.1%というのも覚えておくといいかもしれないね。
2)一見、受け取ったのは20万円未満なので不要と思いきや、計算期間が6カ月なので、年換算では20万円になるので申告が必要ということになるね。
3)この場合X社配当20万円+Y社配当20万円-負債利子30万円=10万円が配当所得となるね。
4)J-REITは配当控除の適用を受けることはできないよ。租税特別措置法によって不動産投資法人は法人税が免除されているからね。
問26
《問26》 居住者に係る所得税の一時所得および雑所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 1) 一時払終身保険を契約から4年後に解約して受け取った解約返戻金は、一時所得として総合課税の対象となる。 2) 先物取引や暗号資産の証拠金取引に係る雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、翌年以後3年にわたって繰り越し、各年分の先物取引や暗号資産の証拠金取引に係る雑所得の金額から控除することができる。 3) 雑所得を生ずべき業務を行う者であって、その年の前々年分の当該業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える者は、当該業務に係る現金預金取引等関係書類を、原則として、その作成または受領した日の属する年の翌年3月15日の翌日から5年間保存しなければならない。 4) 法人の株主が株主である地位に基づいて当該法人から受けた経済的利益で、配当所得とされないもの(いわゆる株主優待券等)は、雑所得とされる。 |
正解2

一時所得、雑所得の問題は2023年1月試験の応用編で苦しめられた記憶がある。

1)通常5年以内に保険を解約すると金融類似商品という扱いになるんだけど、終身保険の契約の場合5年以内でも一時所得となるんだね。
2)暗号資産の損失は繰越控除はできないね。よってこれが不適切だね。
3)これは正しいね。書類の種類によって保存期間は決まっているので、主なものは覚える必要があるね。
4)これは正しいよ。株主優待券等=雑所得と覚えていてもいいかもね。
問27
《問27》 所得税の雑損控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 1) 会社役員である納税者が所有する時価200万円の絵画が盗難に遭って損失が生じた場合、当該納税者は、確定申告をすることにより、雑損控除の適用を受けることができる。 2) 個人事業主である納税者が所有する棚卸資産が災害により損壊して損失が生じた場合、当該納税者は、その損失の金額の多寡にかかわらず、雑損控除の適用を受けることができない。 3) 雑損控除の控除額は、災害関連支出がない場合、損害金額(保険金等により補塡される金額を除く)からその年分の総所得金額等の合計額の5%相当額を控除して計算される。 4) 青色申告者が雑損控除の適用を受け、その控除額がその年分の総所得金額等から控除しきれない場合、控除しきれない額を前年分の所得に繰り戻して、前年分の所得税額の還付を請求することができる。 |
正解2

雑損控除というと災害関連の損失を所得から差し引けるものだけど、2023年9月、2024年9月の応用編で計算させる問題も出題されたことがあるから要注意だね。計算が難しいんだよね。

1)時価200万円の絵画は生活必需品とはいえないため雑損控除の対象外だね。
2)棚卸資産の損害による損失はは事業所得の経費として認められるため雑損控除は受けられないよ。
3)総所得金額等の合計額の10%相当額が正しいね。もしくは災害関連支出-5万円だね。
4)雑損控除は繰戻し還付を受けることはできないよ。最長3年間の繰越控除だね。
問28
《問28》 所得税(復興特別所得税を含む)の源泉徴収に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 国内において支払を受ける特定公社債の利子および預貯金の利子に係る源泉徴収税率は15.315%である。 2) 国内において支払を受ける原稿料や講演料などの報酬は、同一人に対して1回に支払われる金額が100万円を超える場合、当該報酬額の20.42%相当額が源泉徴収される。 3) 勤務先から退職金の支払を受ける納税者が、その支払を受ける時までに「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、課税退職所得金額に応じて所定の算式により計算した金額が源泉徴収される。 4) 公的年金等の受給者が「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出している場合、公的年金等に係る源泉徴収税率は5.105%である。 |
正解2

1度でいいから100万円を超える原稿料や講演料を受け取ってみたいもんだね。

1)これは適切15.315%はしっかり覚えていないとね。また、住民税5%も覚えていないといけないね。
2)油断していると気付けないけど、100万円以下の部分は10.21%、超える部分が20.42%が源泉徴収されるね。
3)これは適切だね。申告書を提出しなかった場合は20.42%が源泉徴収されるよ。
4)これも正しいよ。給与所得者の扶養控除にあたるというイメージだね。
問29
《問29》 「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(中小企業向け賃上げ促進税制。以下、「本控除」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、本控除の適用を受ける法人は一定の中小企業者等であるものとし、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。 1) 雇用者給与等支給額が前事業年度から1%増加した場合、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%相当額を本控除の適用年度の法人税額から控除することができる。 2) くるみん認定またはえるぼし認定を受けた場合、雇用者給与等支給額の前事業年度からの増加率に応じた税額控除率に10%が加算される。 3) 本控除により法人税額から控除することができる金額は、その事業年度の法人税額の30%相当額が限度になる。 4) 控除対象雇用者給与等支給増加額に本控除による税額控除率を乗じて計算した金額のうち、本控除の適用年度の法人税額から控除しきれない金額については、最長で5年にわたって繰り越すことができる。 |
正解4

賃上げ促進税制も何度か改正があったから、過去問を解くときには注意が必要なテーマだね。今回は最新の問題だけど、受験する際に、最新の法令をしっかり確認しとかないと足元をすくわれるよ。

1)中小企業者は給与が1.5%増加した場合、15%の税額控除が正しいよ。
2)くるみん認定にプラスまたはえるぼも認定を受けると税額控除率に5%が加算されるというのが正しいよ。
3)限度額は30%じゃなく20%が正しいよ。
4)これが正しいね。2024年の改正で5年間繰り越せることになったよ。応用編でも狙われそうなテーマだね。
問30
《問30》 法人税における減価償却に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人はいずれも製造業を営む内国法人(普通法人)である中小企業者とし、取得した減価償却資産は貸付の用に供するものではないものとする。また、当期とは2024年4月1日から2025年3月31日までの事業年度であるものとする。 1) 当期に取得価額が10万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、その使用可能期間の長短にかかわらず、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。 2) 当期に取得した取得価額が30万円未満の減価償却資産について「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の適用を受けるためには、常時使用する従業員の数が500人以下でなければならない。 3) 当期に取得した建物、建物附属設備および構築物については、「減価償却資産の償却方法の届出書」の提出の有無にかかわらず、定率法を選択することができない。 4) 当期に中古資産90万円(取得価額40万円、事業の用に供するために支出した資本的支出の金額50万円)を取得して事業の用に供した場合、当該減価償却資産の耐用年数は、原則として、簡便法により算定することができる。 |
正解4

初めて減価償却を知った時には、いまひとつ考えにしっくりこなかったんだよね。
キャッシュを考えた時に最初にお金は減っているから最初に経費にしちゃってもいいように思ったんだけど、実際には高額な固定資産を使って事業をする場面というのもよくあるもんね。

1)10万円未満、または使用期間が1年未満のものは、一括して経費で落とせるね。
2)30万円未満というのは覚えていても500人以下というのは抜けがちなので覚えとこう。
3)建物、建物付属設備および構築物は定額法だね、建物附属設備は、電気・給排水・冷暖房・エレベーターなどで、構築物は舗装された駐車場のイメージだね。
4)資産のうち、資本的支出が50%を超えると簡便法は使えないよ。これは会計の専門知識が必要かもね。
問31
《問31》 法人税における寄附金に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。なお、本問において、法人はいずれも内国法人(普通法人)であるものとする。 (a)法人が政党に対して支出した寄付金は、指定寄付金としてその金額を損金の額に算入することができる。 (b) 親法人による完全支配関係がある子法人が親法人から寄附金を受け取った場合、子法人においては受け取った全額が益金の額に算入され、親法人においては支払った全額を損金の額に算入することができる。 (c) 親法人による完全支配関係がある子法人に出向している従業員に対して、出向元の親法人が子法人との給与条件の較差を補塡するために給与を支払った場合、親法人が子法人に対して当該給与の額に相当する金額の寄附金を支出したものとみなされる。 1) 1つ 2) 2つ 3) 3つ 4) 0(なし) |
正解4

科目問わず、いくつあるか問題には苦しめられるね。選択肢のうち適切・不適切が判定できるものがあれば、それを頼りに3)か4)で決め打ちするのもありだと思うけどね。

(a) これは不適切というのが正しいようです。厳密に考えると難しいので、ここではパスします。
(b) これも厳密な判断は難しいですが、親子間企業の場合、得をする取引は認めないと覚えておくのもありだと思います。
(c)これも難しい設問だね。こういう問題を考える時は、脱全(疑わしい節税を含む)が考えられる取引は認められないということだと思う。
問32
《問32》 消費税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 消費税の課税対象となる資産の譲渡には、棚卸資産または固定資産のような有形資産の譲渡のほか、権利その他の無形資産の譲渡が含まれる。 2) 給与収入のみを得ていた相続人が、相続により被相続人の個人事業を承継した場合、原則として、相続があった年においては、被相続人の基準期間における課税売上高の多寡にかかわらず、相続人の消費税の納税義務は免除される。 3) 簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、原則として、その適用を受けようとする課税期間の初日から2カ月以内に、「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 4) 消費税の課税事業者である個人および法人が、「消費税申告期限延長届出書」を納税地の所轄税務署長に提出した場合、消費税の確定申告書の提出期限を1カ月延長することができる。 |
正解1

消費税は選挙の際に論点になりやすいし、一番身近な税金ともいえるね。
考える時に、逆に消費税がかからない取引を覚えるのもありだと思うよ。例えば保険金の受け取りとか、障害・遺族年金とかね。

1)これが適切だね。後半で悩むところだけど、サービスや権利の譲渡には消費税がかかるね。
2)課税売上高の多寡にかかわらずではないね。1,000万円を超えていたら課税されるよ。
3)「消費税簡易課税制度選択届出書」は事業開始前までに提出しないといけないね。
4)「消費税申告期限延長届出書」は個人は対象じゃないね。
問33
《問33》 法人税申告書の各種別表に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 1) 法人税申告書の総括表である「別表一」には、法人の事業種目、期末現在の資本金の額または出資金の額、当期利益または当期欠損の額、法人税額、地方法人税額などを記載する。 2) 所得の金額の計算に関する明細書である「別表四」は、損益計算書に掲げた当期利益の額または当期欠損の額を基として、いわゆる申告調整により税務計算上の所得金額または欠損金額を計算するために使用する。 3) 租税公課の納付状況等に関する明細書である「別表五(二)」は、利益積立金額の計算上控除する法人税等の税額の発生および納付の状況ならびに納税充当金の積立または取崩しの状況を明らかにするために使用する。 4) 交際費等の損金算入に関する明細書である「別表十五」には、支出交際費等の額の明細とともに交際費等に係る損金算入限度額や損金不算入額などを記載する。 |
正解1

申告書の問題は、事業をしている人か、会社員でも経理に携わっている人がやっぱり強いよね。 応用編に頻出の別表四とかも見たことあるか無いかで相当な差が出ると思うからね。

1)別表一は法人名、住所、事業種別、別表4で算出した法人税法上の所得・欠損金額が記載されていて、資本金・出資金が記載されているのは別表五に記載されているよ。
2)これは応用編で何度も見ているからわかるね。適切だよ。
3)別表五(二)はあまり見慣れないかもしれないけど、適切だよ。
4)別表十五は交際費の要約書だね。応用編の別表四の説明で記載されている交際費の説明をするための計算書というイメージだね。
FPというと、ある意味、税理士の補助的な役割ととらえられていることも多いように思います。
実際にFP試験の科目にある、ライフプランニングや保険、金融資産運用、不動産、相続・事業承継を主戦場にしている税理士さんも多いため
FPにとって知識という面においては、税理士をライバルととらえることもできます。
しかし、すべての分野をひとりの専門家で網羅するというのは現実的でなく、どの先生も自分の強い分野を持たれていると思います。
FPとして顧客のニーズに応えられるために、先ずは私は、このブログのファンを増やしていくことを当面の目標としたいと思います。