国債
日本の国債は多すぎるのか?2025年消費税減税を国債発行で求める野党に対して、石破茂首相が「日本の財政はギリシャよりよろしくない」という趣旨の発言をして波紋を呼んだのですが、実態はどうなのでしょうか。
深入りすると難しくなるので、FPでもわかる範囲で概略を述べたいと思います。
国債は誰の借金?
国債が増えるということは国民一人一人が借金を追うようなイメージを持たれる方もいらっしゃると思いますが、実は国債を発行しているのは日本政府です。 この借金を個人向け国債という形で日銀や金融機関、国民が持っているので、直接的には国民は債権者ともいえます。この根本を理解しておかないと、議論を見誤るような気がします。
日本の国債は多すぎるのか?
国債が多いか少ないかという議論をする際に、対GDPの比率で考えるという見方があります。
世界経済のネタ帳というサイトで1980年からのと国債発行残高とGDPのデータが掲載されていたので、ここで紹介したいと思います。元データは小数点以下2位まで記載されていましたが、ここでは兆円以下切り捨てて紹介します。
また45年分を掲載すると大変なので、10年ごとの数値と現在を記載します。
| 国債残高 | 名目GDP | 国債÷GDP | |
| 1980年 | 122 | 256 | 47.7% |
| 1990年 | 291 | 461 | 63.1% |
| 2000年 | 726 | 535 | 135.7% |
| 2010年 | 1,040 | 505 | 205.9% |
| 2020年 | 1,394 | 539 | 258.6% |
| 2025年 | 1,466 | 624 | 234.9% |
国債の残高が右肩上がりなのは、この表でわかると思います。
この是非はともかく、事実を知ることは必要だと思います。
諸外国と比べてどうなのか?
国債の残高をG7諸国と比べた表がありましたので、紹介します。

この表を見ると突出して日本の国債/GDP比が高いことがわかります。
ただし、各酷の計算方式が統一されているものでないと思われるため、単純に日本が多すぎるというのは早計だといえます。
この表で、私が注目したのは、2024年にGDPで追い抜かれたドイツです。
グラフを見るとドイツはGDP比の国債の割合が下がってきていることがわかります。
詳細は今後調べますが、国債を減らすことが正しいと仮定するなら、日本はドイツを参考にするのもありだと思います。
国債に対する考え方の違い
国債に対して政治家の主張には大きくわけて2つに分かれると思います。
積極財政
1980年からの推移を見てきましたが。この45年、積極財政が主流であったことがわかり、記憶に新しいところでは、アベノミクスが典型的な積極財政の政権であったといえます。
首相に就任した高市早苗氏は10月24日の所信表明演説で「成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していきます。」と発言されており、
この発言だけからは緊縮財政を意図したものともとらえられるため、どうなるのか正直わかりません。
しかし、高市首相が若年者層に支持者が多いのは、積極財政を望む声が多いからだと思います。
直接的には補助金や減税、物価高騰対策などにより、自分の生活を楽にしたいという方が多いのだと思います。
緊縮財政
退陣した石破茂氏は緊縮財政を主張してきたように思います。
石破氏の支持者に中高齢者が多かったのは、ある程度、安定した生活を送る中高年の方にとっては、国債を抑えて、子や孫に負債を残したくないという気持ちが働いたのだと思います。
冒頭に記載した「日本の財政はギリシャよりよろしくない」というのは一面、真実であると思いますので、計算方法や債権者の内訳が異なるとしても発言を軽視してはいけないと思います。
MMTとは?
MMTは自国通貨を発行できる政府は、財政破綻しないと主張する経済理論です。実際に国債がどれだけ多くなろうが、償還できるだけの貨幣を自国で発行できれば問題ないという考え方です。
実際に令和7年現在、日本国債は日本銀行が約50%を保有しています。
うがった見方をすれば、政府は日本銀行の子会社といえるかもしれません。
国債については引き続き研究
GDPと国債残高の比率、積極財政と緊縮財政のどちらが望ましいのか、など明確な主張ができずに申し訳ありませんが、引き続き、考えていこうと思います。
それぞれの置かれた立場によって主張が異なるのは当然ですが、少なくともコメントを述べるための知識は必要だと思います。
玉虫色の結論でごめんなさい。

