インフレ・デフレ
2025年現在、物価が高騰し、いわゆるインフレーション状態にあると思います。
経済学者の多くは、インフレ=善、デフレ=悪という論調で語られることが多いような印象ですが、本当にそうでしょうか。
今回は、1980年から45年間、日本はインフレだったのかデフレだったのかを検証したいと思います。
そして、最後に私なりの持論を述べたいと思います。
GDPデフレーター・有効求人倍率(一致係数)・1ドルの値段
1980年からの景気動向の推移を振り返るため「GDPデフレーター・有効求人倍率(一致係数)・1ドルの値段」を表にしてみました。
有効求人倍率(一致係数)から、景気動向を見ることができ、GDPデフレーターから、
インフレだったのかデフレだったのかを見ることができると思います。
GDPデフレーターが1以上だとインフレ、1を下回るとデフレと見なして
表の左端に記しています。
景気動向指数で有効求人倍率が1以上だと好況、1を下回ると不況と見なして、左端に記しています。
また、一番、右端には時の総理大臣と自民党政権であったか民主党政権であったのかを記しています。
また表があまりに縦長になると見づらいので、15年くらいづつ区切って表にしています。
1980年(昭和55年)~1992年(平成4年)
| 西暦 | 和暦 | GDPデフレータ― | 有効求人倍率 | 1ドルの値段 | 内閣総理大臣 | ||
| 1980年 | 昭和55年 | 93.67 | デフレ | 0.75 | 不況 | 226 | 大平正芳/鈴木善幸 |
| 1981年 | 昭和56年 | 96.34 | 0.68 | 鈴木善幸 | |||
| 1982年 | 昭和57年 | 98.04 | 0.61 | 249 | 鈴木善幸/中曽根康弘 | ||
| 1983年 | 昭和58年 | 98.94 | 0.60 | 237 | 中曽根康弘 | ||
| 1984年 | 昭和59年 | 100.36 | インフレ | 0.65 | 237 | 中曽根康弘 | |
| 1985年 | 昭和60年 | 101.62 | 0.68 | 238 | 中曽根康弘 | ||
| 1986年 | 昭和61年 | 103.26 | 0.62 | 168 | 中曽根康弘 | ||
| 1987年 | 昭和62年 | 103.09 | 0.70 | 144 | 中曽根康弘/竹下 登 | ||
| 1988年 | 昭和63年 | 103.72 | 1.01 | 好況 | 128 | 竹下 登 | |
| 1989年 | 平成1年 | 105.87 | 1.25 | 137 | 竹下 登/宇野宗佑/海部俊樹 | ||
| 1990年 | 平成2年 | 108.58 | 1.40 | 144 | 海部俊樹 | ||
| 1991年 | 平成3年 | 111.73 | 1.40 | 134 | 海部俊樹/宮澤喜一 | ||
| 1992年 | 平成4年 | 113.61 | 1.08 | 126 | 宮澤喜一 | ||
1993年(平成5年)~2004年(平成16年)
| 西暦 | 和暦 | GDPデフレータ― | 有効求人倍率 | 1ドルの値段 | 内閣総理大臣 | ||
| 1993年 | 平成5年 | 114.21 | インフレ | 0.76 | 不況 | 111 | 宮澤喜一/細川護煕 |
| 1994年 | 平成6年 | 114.42 | 0.64 | 102 | 細川護煕/羽田 孜/村山富市 | ||
| 1995年 | 平成7年 | 113.82 | 0.63 | 94 | 村山富市 | ||
| 1996年 | 平成8年 | 113.32 | 0.70 | 108 | 村山富市/橋本龍太郎 | ||
| 1997年 | 平成9年 | 113.89 | 0.72 | 120 | 橋本龍太郎 | ||
| 1998年 | 平成10年 | 113.86 | 0.53 | 130 | 橋本龍太郎/小渕恵三 | ||
| 1999年 | 平成11年 | 112.44 | 0.48 | 113 | 小渕恵三 | ||
| 2000年 | 平成12年 | 110.94 | 0.59 | 107 | 小渕恵三/森 喜朗 | ||
| 2001年 | 平成13年 | 109.74 | 0.59 | 121 | 森 喜朗/小泉純一郎 | ||
| 2002年 | 平成14年 | 108.21 | 0.54 | 125 | 小泉純一郎 | ||
| 2003年 | 平成15年 | 106.47 | 0.64 | 115 | 小泉純一郎 | ||
| 2004年 | 平成16年 | 105.27 | 0.83 | 108 | 小泉純一郎 | ||
2005年(平成17年)~2012年(平成24年)
| 西暦 | 和暦 | GDPデフレータ― | 有効求人倍率 | 1ドルの値段 | 内閣総理大臣 | ||
| 2005年 | 平成17年 | 104.02 | インフレ | 0.95 | 不況 | 110 | 小泉純一郎 |
| 2006年 | 平成18年 | 103.12 | 1.06 | 好況 | 116 | 小泉純一郎/安倍晋三 | |
| 2007年 | 平成19年 | 102.39 | 1.04 | 117 | 安倍晋三/福田康夫 | ||
| 2008年 | 平成20年 | 101.46 | 0.88 | 不況 | 103 | 福田康夫/麻生太郎 | |
| 2009年 | 平成21年 | 100.88 | 0.47 | 93 | 麻生太郎/鳩山由紀夫 | ||
| 2010年 | 平成22年 | 98.98 | デフレ | 0.52 | 87 | 鳩山由紀夫/菅直人 | |
| 2011年 | 平成23年 | 97.38 | 0.65 | 79 | 菅直人/野田佳彦 | ||
| 2012年 | 平成24年 | 96.64 | 0.8 | 79 | 野田佳彦/安倍晋三 | ||
2013年(平成25年)~2024年(令和6年)
| 西暦 | 和暦 | GDPデフレータ― | 有効求人倍率 | 1ドルの値段 | 内閣総理大臣 | ||
| 2013年 | 平成25年 | 96.3 | デフレ | 0.93 | 不況 | 97 | 安倍晋三 |
| 2014年 | 平成26年 | 97.92 | 1.09 | 好況 | 105 | 安倍晋三 | |
| 2015年 | 平成27年 | 99.99 | 1.20 | 121 | 安倍晋三 | ||
| 2016年 | 平成28年 | 100.41 | インフレ | 1.36 | 108 | 安倍晋三 | |
| 2017年 | 平成29年 | 100.34 | 1.50 | 112 | 安倍晋三 | ||
| 2018年 | 平成30年 | 100.34 | 1.61 | 110 | 安倍晋三 | ||
| 2019年 | 令和1年 | 100.97 | 1.60 | 109 | 安倍晋三 | ||
| 2020年 | 令和2年 | 101.92 | 1.18 | 106 | 安倍晋三/菅 義偉 | ||
| 2021年 | 令和3年 | 101.71 | 1.13 | 109 | 菅 義偉/岸田 文雄 | ||
| 2022年 | 令和4年 | 102.11 | 1.28 | 131 | 岸田 文雄 | ||
| 2023年 | 令和5年 | 106.27 | 1.31 | 140 | 岸田 文雄 | ||
| 2024年 | 令和6年 | 109.34 | 1.25 | 151 | 岸田 文雄/石破 茂 | ||
GDPデフレーター
物価が話題になるのは、決まってインフレのときです。「最近、〇〇が高くて買えない、手を出しづらい・・・」等々、言われるのは決まってインフレのときです。
じゃあデフレの時、聞かれる声の代表といえば「働いても、働いても給料は上がらない」というものだったと思います。
私たちの生活を考えると一概にインフレ=善、デフレ=悪と決めつけるのは早計な気がします。
ここでは、過去45年、日本がインフレだったか、デフレだったのか見るためにGDPデフレーターという指標を用いたいと思います。
GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP
名目GDPというのは、実際の現在の貨幣で計算したGDP
実質GDPというのは名目GDPから物価の変動要因を取り除いたもの
わかりやすくお伝えできているか自信は無いですが、一般的にこの値が100を上回るとインフレ、下回るとデフレと言われることが多いです。
このGDPデフレーターを1980年から現在まで見てみたいと思います。
また、この時代に起こった関連する出来事と、時の内閣(総理大臣)を並べて見ていきます。
世の中、デフレだと言われた時代が長く続いたような印象がありましたが、GDPデフレーターで見ると45年中、ほとんどがインフレで、デフレだったのはわずか 年です。
消費税の印象が強いため、税込みでの物価上昇というイメージがあります。
近年デフレが続いていたと言われる方は、ひょっとして消費税抜きの物価で論じているのではないかと疑いたくなります。
GDPデフレーターから見て取れるのは、過去40年、日本はインフレ社会であったということです。
物価上昇に遅れて賃金上昇はやってくる
インフレを推奨する政治家、研究者の中にはインフレは賃金上昇をもたらすということを述べられる方が多数いらっしゃいますが、個人的には、これにも違和感を覚えています。
理由は単純で、物価上昇は一瞬で行われるが、賃金上昇は数カ月から数年の時間がかかることです。
有効求人倍率(一致係数)
次に視点を変えて、現在、景気がいいのか悪いのかという点で見ていきたいと思います。
日経平均株価が5万円を上回るというニュースをよく耳にするのですが、この日経平均株価というのは景気動向指数でいえば景気に先行して動く指数に分類され、これから景気がよくなるというメッセージを伝えてくれていると思われます。
では、現時点の景気を判断するのに使うのが一致係数というもので、いくつか指標があるのですが、ここでは有効求人倍率を取り上げます。
これは、端的に言えば仕事を求めている方に対して、どれくらいの求人数があるのかを指標としており、1より多ければ仕事が多くあるということで好景気を表し、1を下回ると、逆で景気が悪いことを表します。
この指標も45年分を表に並べてみました。
この表と労働者数、年末の1ドルの値段を並べて表にいてみました。為替と相関関係があるかどうかは定かではないですが、何か関連があるような気がしたので、以下に記載します。
内閣総理大臣
インフレ・デフレを見る上で、時の政権(総理大臣)を見るのが参考になるのではないかと思い、一番右端に時の総理大臣を記載しました。
現在もそうですが、ほとんど自民党政権ですが、2回、非自民政権(民主党連合、立件民主党)だったことがあります。
1993年8月~1994年6月
2009年9月~2012年12月
また、経済に大きな影響を与える出来事として、2度の大震災がありました。
1995年1月17日 阪神淡路大震災
2011年3月11日 東日本大震災
防災庁設置の準備が進められていると思いますが、災害大国日本で、優先して取り組むべき課題だと個人的には思います。
マクロ経済スライド
では、現在、インフレ局面を迎えて、最も苦しいのは誰かといえば、年金で生活している高齢者だと思います。
インフレは生活している全世代に厳しいものですが、現役世代は副業などで収入を増やそうということもできるかもしれませんが、高齢者には、ちょっと難しいような気がします。
高齢であっても会社経営をしていたり、資産運用をして着実にお金を増やせている人はいいかもしれませんが、私の知る限り、そういった高齢者はごく一部で、年金や年金生活支援給付金が唯一の収入という方も多数いらっしゃると思います。
令和7年現在の老齢基礎年金の満額は
昭和31年4月以降生まれの方で 83万1,700円
昭和31年4月以前生まれの方で 82万9,300円
これを多いと思うか少ないと思うかは、見解が分かれると思います。
多くの高齢者は基礎年金だけでなく、老齢厚生年金も受け取っておられると思いますので、現役世代中にバリバリ働いていた方は、多くの年金を受け取れているかもしれませんが、
例えば自営業をされていて厚生年金に加入していなかった方などは、上記の年金と預貯金を取り崩す生活をしなければなりません。
高齢者の多額のタンス預金がニュースになったりしますが、個人的には「本当にそうなのだろうか?」と疑問を抱いたりしています。
戦中戦後の日本を支えた高齢者に最大限の敬意を示す社会であるべきと私は思います。
本当に現在は景気がいいのか
インフレ、デフレというテーマで記事を書きましたが、私、個人的には、高齢者に優しいデフレ社会であるべきと考えます。
政治家や経済学者の方とは反対の意見かもしれませんが、高齢者だけではありません、弱者がよりよい生活をしていくためにも物価高騰はできれば避けたいと考える今日このごろです。
また、冒頭の表で見ると、現在はインフレかつ好況という結果ですが、個人的な肌感覚として疑問を持っています。
これについて、現在が本当に景気がいいのか否かは継続して研究していきたいと思います。

