F.相続・事業承継 基礎編分析

相続・事業承継も勉強を始めたころは、苦手でした。
公平な遺産相続(言い方を変えると相続争いを避ける問題)などが出てくると気持ちが重くなったと思います。
しかし、学科試験(基礎編・応用編)だけでなく実技試験まで考えると、相続・事業承継の問題は、不動産分野同様、一番、理解を要求される問題だといえるかもしれません。
相続税の計算の問題に家系図が出てきて、養子やら、半血兄弟などが登場すると、
頭が混乱しました。
しかし、基礎編でも、問42~問50 最後にこの問題を解かれる方が多いと思われ、
午後の応用編にモチベーションを保ちながら向かうためにも、相続・事業承継を攻略することは必須です。
不動産分野と同様、相続・事業承継は実技試験で主要なテーマとなるため、実技試験の過去問を見るようになって、理解が深まりました。
実技試験を意識して、最も学科の得点アップにつながったのが、相続・事業承継でした。
この分野も2022年5月分から9回分、出題された内容を一覧表にまとめてみました。
2022年5月分9年分を横にならべると見づらくなりそうなので、3年分で区切って
記載します。
2022.5 | 2022.9 | 2023.1 | |||||||
問42 | 暦年課税の贈与税 | 贈与契約 | 贈与税の配偶者控除 | ||||||
問43 | 贈与税の配偶者控除 | 贈与税の申告・納付 | 法定相続情報証明制度 | ||||||
問44 | 遺言 | 配偶者居住権 | 遺言 | ||||||
問45 | 特別の寄与 | 相続税の申告 | 相続税の課税財産 | ||||||
問46 | 相続税の課税財産 | 法定相続分、申告期限(家系図) | 相続税の申告期限 | ||||||
問47 | 法定相続分(家系図) | 配当還元価額 | 相続税の債務控除 | ||||||
問48 | 相続税の申告・納付 | 取引相場のない株式の評価方法 | 土地の相続税評価額 | ||||||
問49 | 遺留分に関する民法の特例 | 小規模宅地の特例 | 遺産分割(家系図) | ||||||
問50 | 事業承継における贈与税の納税猶予・免除 | 会社法 | 会社法 |
相続税・贈与税は基礎編、応用編だけでなく、学科合格後の実技試験(面接形式)でも重要なテーマです。実際には相続税の支払いをする方は全体の1割程度というのを聞いたことがあるけど、会社経営者や不動産を所有している方などにとって納税資金の準備というのは切実な問題だと思います。実際の納税や申告のサポートはできないかもしれませんが、相続が起こる前段階で、財産を渡す方にとっても、受け取られる方にとっても有益な知識を提供することはFPにもできると思います。
小規模宅地の特例、取引相場のない株式の相続税評価(類似業種批准法、純資産方式)など、過去に記事にしていますので、よろしければご覧ください。
2023.5 | 2023.9 | 2024.1 | |||||||
問42 | 贈与 | 特定贈与信託契約 | 贈与 | ||||||
問43 | 贈与税の課税財産 | 暦年課税の贈与税 | 成年後見制度 | ||||||
問44 | 相続時精算課税 | 普通養子・特別養子 | 相続税における課税財産 | ||||||
問45 | 相続の単純承認、限定承認 | 遺産分割前に単独で払戻し | 相続税法上の債務控除 | ||||||
問46 | 民法上の特別受益 | 相続税の課税財産・非課税財産 | 相続土地国庫帰属法 | ||||||
問47 | 相続税の税額控除 | 相続税の延納・物納 | 上場株式の相続税評価 | ||||||
問48 | 相続税の財産評価 | 中心的な同族株主 | 取引相場のない株式の相続税評価 | ||||||
問49 | 地積規模の大きな宅地の評価 | 取引相場のない株式の評価方法における純資産価額方式 | 宅地の相続税評価額 | ||||||
問50 | 非上場株式の贈与税の納税猶予・免除 | 自己株式の取得(金庫株) | 遺留分に関する民法の特例 |
直系尊属からの贈与、非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例など実技試験でも論点になることもあるので、学科終了後には、学習することをお勧めします。
2024.5 | 2024.9 | 2025.1 | |||||||
問42 | 民法における認知 | 民法における贈与 | 協議による離婚後に財産分与した場合の課税関係 | ||||||
問43 | 贈与税の課税財産 | 相続時精算課税制度 | 相続時精算課税 | ||||||
問44 | 相続の放棄・承認 | 民法における特別受益 | 民法における遺留分 | ||||||
問45 | 配偶者居住権・配偶者短期居住権 | 民法における遺言 | 民法における特別寄与料 | ||||||
問46 | 相続税の納税義務者 | 相続税の課税財産 | 親族関係図 | ||||||
問47 | 相続税の税額控除 | 相続税額の2割加算 | 金融資産の相続税評価 | ||||||
問48 | 社団医療法人の出資の評価 | 取引相場のない株式の評価 | 宅地等に係る相続税評価 | ||||||
問49 | 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 | 使用貸借に係る土地についての相続税および贈与税の取扱い等 | 小規模宅地等 | ||||||
問50 | 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(特例措置) | 遺留分に関する民法の 特例 | 会社法における種類株式 |
駆け足でしたが、A分野からF分野の過去9回分の過去問を見てきました。
基本は、よく出題されている問題を解いて覚えることだと思います。
そして、自身の得意分野を作れば、本番中の安心感を獲ることができます。
ここからは、私なりに頻出問題だと思うものをピックアップして、自分なりの解説をしていきたいと思います。

相続・事業承継って、自分と縁遠いから、馴染めないんだよね。

税金~日本の家計簿 という記事でも紹介したけど、日本の歳入112兆円のうち相続税は3兆円と消費税、所得税、法人税に比べて少ないんだよね。
将来的に、日本の財源確保のため、相続税をもっと徴収しようという話もありえると思うので、そんな時のために、FPの知識を発揮して、納税者の味方にならないといけないね。