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2024年9月8日 相続・事業承継 基礎編

kameno-ongaesi

令和5年の調査によると相続税が課せられた割合は9.9%だそうです。

出所:国税庁「相続税の申告事績の概要」

FP受験生でも、この分野が苦手という人は少なくないと思います。

FP試験において、相続・事業承継は基礎編、応用編、実技を含めて考えると最も配点が高い科目といえるので、どこかのタイミングで苦手を克服し、むしろ得意科目にした方が、合格に近づくといえます。

税金はともかく、ほとんどの方は相続を経験します。しかし、そう何度も経験される方は少なく、「知っていればよかったのに」と思える専門知識がある分野でもあります。

問42 贈与

《問42》 民法における贈与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) 定期贈与とは、定期の給付を目的とする贈与であり、受贈者が死亡した場合は、その相続人に定期の給付を受ける権利が承継される。

2) 負担付贈与とは、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、受贈者の負担によって利益を受ける者は、贈与者以外の第三者とすることができる。

3) 死因贈与は、民法における遺贈に関する規定が準用され、贈与者の一方的な意思表示により成立し、贈与者の死亡によってその効力を生じる。

4) 書面によらない贈与では、履行の終わった部分について、受贈者が解除をすることはできるが、贈与者が解除をすることはできない。

正解2

ツルさん
ツルさん

この分野はあたりまえだけど、民法をある程度、理解していないと解けない問題が多いよね。選択肢で適切、不適切を選ぶだけなら過去問の暗記である程度、得点できるけど、それは何で?と質問されたら浅い知識では論破されちゃうね。

カメさん
カメさん

1)定期贈与は原則として贈与者または受贈者の死亡により効力を失うよ。権利が承継されることはないと考えていいと思うよ。

2)これは過去にも見たことのある選択肢だね。正しいよ。

3)遺贈は一方的な意思表示に対して、死因贈与は与える人と受け取る人の合意が必要ということだよ。

4)書面によらない贈与では、すでに完了しているものについて解除はできないよ。これから行うものについては双方解除が可能だけどね。

問43 相続時精算課税制度

《問43》 相続時精算課税制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、贈与の年においてほかに贈与された財産はなく、記載のない事項については考慮しないものとする。

1) 相続時精算課税適用者が、同一年中に複数の特定贈与者からそれぞれ200万円の贈与を受けた場合、特定贈与者ごとの贈与財産に係る贈与税の課税価格から相続時精算課税に係る基礎控除額としてそれぞれ110万円が控除される。

2) 相続時精算課税適用者が、同一年中に特定贈与者および特定贈与者以外の者からそれぞれ200万円の贈与を受けた場合、特定贈与者から受けた贈与財産に係る贈与税の課税価格から相続時精算課税に係る基礎控除額として110万円が控除され、特定贈与者以外の者から受けた贈与財産に係る贈与税の課税価格から暦年課税に係る基礎控除額は控除されない。

3) 相続時精算課税適用者が特定贈与者から現金の贈与を受けた場合、その金額が相続時精算課税に係る基礎控除額以下であっても、当該贈与について贈与税の申告書を提出しなければならない。

4) 養親から相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた養子が、当該養親との養子縁組解消後に養親であった者からの贈与により取得した財産については、引き続き相続時精算課税制度が適用される。

正解4

ツルさん
ツルさん

相続時精算課税は勉強しはじめた2019年から途切れることなく出題されているテーマだね。最近、法改正もあったし、しばらくは出題が続くと思われるよ。

カメさん
カメさん

1)何人からの贈与であっても合計から110万円を控除することに変わりないよ。特例贈与と一般贈与の計算問題が出題されたときの計算プロセスを思い出すといいかもね。

2)この文章も何を言っているのか理解するのに苦しむ文章だね。しかし相続時精算課税の基礎控除110万円をうけても、他の方からの暦年贈与に110万円控除は使えるから不適切だね。

3)これは2024年に変わった個所だね。以前は申告書の提出が必要だったけど、今は110万円なら申告書が不要になったんだよね。長く勉強していた人が逆に間違う問題かもね。

4)これは適切だね。何度か見たことのある選択肢だね。

問44  民法における特別受益

《問44》 民法における特別受益に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) 相続人ではない被相続人の孫が、被相続人から現金の遺贈を受けた場合、その現金は、原則として、特別受益に該当する。

2) 婚姻期間が20年以上の夫婦において、夫が妻に対し、その居住用建物とその敷地を遺贈した場合、夫は、その遺贈について特別受益の持戻し免除の意思表示をしたものと推定される。

3) 特別受益に該当する贈与の価額のうち、遺留分を算定するための財産の価額に加算されるのは、原則として、被相続人の相続開始前5年間に行われた贈与によるものに限られる。

4) 共同相続人のなかに被相続人を契約者(=保険料負担者)および被保険者とする生命保険の死亡保険金を受け取った者がいる場合、その死亡保険金は、原則として、特別受益に該当する。

正解2

ツルさん
ツルさん

相続税は改正が多いから、最新情報に注意することが必要だね。

また、深く追求しようとすれば例外事項も見つかるかもしれないけど、あまり深入りすると全体の勉強に影響が出るため、試験合格というのを目的に考えると、あまりお勧めしないかも。

カメさん
カメさん

1)そもそも特別受益は相続人が受けるものなので、相続人以外の孫への贈与は該当しないよ。

2)特別受益の持戻し免除の意思表示というのは、簡単に言うと相続財産に含めないでね。ということだね、これが正し選択肢だね。

3)5年というのは誤りで相続開始前1年が正しいね。

4)保険金は受け取った方の固有の財産になるので特別受益にはあたらないね。

問45  民法における遺言

《問45》 民法における遺言に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) 公正証書遺言の遺言者が、公正証書遺言の正本を故意に破棄したときは、その破棄した部分について遺言を撤回したものとみなされる。

2) 遺言者は、遺言により1人または複数人の遺言執行者を指定し、またはその指定を第三者に委託することができるが、未成年者および破産者は遺言執行者となることができない。

3) 遺言者の相続開始前に受遺者が死亡していた場合に、受遺者に子があるときは、遺言者がその遺言に別段の意思を表示していない限り、原則として、その子が受遺者たる地位を承継する。

4) 遺贈義務者が、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認または放棄をすべき旨の催告をした場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈の放棄をしたものとみなされる。

正解2

ツルさん
ツルさん

FP試験の勉強をしていると遺言書を作っておいた方がいいという話をよく耳にするけど、身の回りで遺言書を作っていたので助かったという話を聞いたことが無いんだよね。

しかし、個人的には前向きに作成を考えているよ。 しかし、それより残すほどの財産を築くことが先だけどね。

カメさん
カメさん

1)公正証書遺言は公正役場で原本が保管されているので、個人が受け取る正本を破棄しても無効にはならないよ。

2)これもよく見る問題文だね。これが正しいよ。

3)遺言者の相続開始前に受遺者が死亡していた場合はその部分は無効になるよ。

この内容は、2024年2月18日の実技試験でも類似の内容が出てきたことがあるよ。

4)これもややこしいけど、この場合、承認したものとみなされます。放棄じゃないね。

問46  相続税の課税財産

《問46》 相続税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 個人事業主であるAさんが2024年10月20日に死亡し、Aさんの妻が2024年12月13日に準確定申告書を提出して、Aさんが納付した予定納税額のうち一部の還付を受けた場合、Aさんの妻が受け取った当該還付金は、相続税の課税対象とならない。

2) 会社員であるBさんが2024年8月19日に死亡し、Bさんの勤務先からBさんに2024年8月23日に支給すべき給与がBさんの妻に支給された場合、Bさんの妻が受け取った当該給与は、相続税の課税対象となる。

3) 会社役員であるCさんが2024年6月3日に不動産を購入後、所有権の移転登記を行う前に死亡した場合、Cさんの子が相続により取得した当該不動産は、相続税の課税対象となる。

4) 特別寄与者であるDさんが支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合、当該特別寄与料の額に相当する金額は、Dさんが、Dさんによる特別の寄与を受けた被相続人から遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となる。

正解1

ツルさん
ツルさん

あたりまえだけど、人の死は突然で、残された遺族にとっては、故人の相続処理に追われることになるけど、個人的な見解だけど、税理士など相続に詳しい人のアドバイスを受けることをお勧めするよ。もちろんFPもね。

なるべく自分の死後に遺族が困らない準備が必要だね。

カメさん
カメさん

1)還付金は、相続税の課税対象となるので、これが不適切だね。準確定申告は相続発生から4カ月以内にしないといけないので注意が必要だね。

2)これは適切だね、Bさんが受け取るべき給与をBさんの妻が受け取っているのだから相続税の課税対象だね。

3)これも2)と意味は同じでCさんが受け取るはずだった不動産をCさんの子が受け取っているんだからね。相続財産だね。

4)これは問題文が若干、複雑だけど、特別寄与者にも相続税は課されるね。請求期限が相続を知ったときから6カ月以内、または相続開始から1年以内というのにも注意が必要だよ。

問47

問47  相続税額の2割加算

《問47》 相続税額の2割加算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、いずれも相続税の納付税額が発生するものとする。

1) 被相続人を契約者(=保険料負担者)および被保険者とする生命保険の死亡保険金を受け取った被相続人の子が相続の放棄をした場合、子は相続税額の2割加算の対象となる。

2) 相続において被相続人の子とその子(被相続人の孫)が財産を取得し、その孫が被相続人の養子となっている場合、その孫は相続税額の2割加算の対象とならない。

3) 相続において被相続人の弟の子(被相続人の甥)が財産を取得し、その甥が被相続人の弟の代襲相続人である場合、その甥は相続税額の2割加算の対象となる。

4) 相続税額の2割加算の対象となる者が未成年者控除の適用を受ける場合、相続税額の計算上、未成年者控除額を控除した後の相続税額にその相続税額の100分の20に相当する金額を加算する。

正解3

ツルさん
ツルさん

相続税の2割加算も頻出だね。注意すべきは養子と子が亡くなっている場合の孫養子とかだね。また、兄弟を養子にしているパターンもあるかな。

カメさん
カメさん

1)2割加算の対象の対象になるのは、配偶者、子、父母以外だから、相続放棄したからといって子は2割加算にはならないよ。

2)子が健在の場合の孫養子は2割加算の対象だね。子が亡くなっているときは対象じゃなくなるので要注意だね。

3)そもそも弟も2割加算の対象だから、その代襲相続人も2割加算だね。これが正しいよ。

4)これは応用編で相続税の計算が出題されたときにも迷うやつだね。相続税の金額に2割して、最後に未成年者控除を引くんだね。

問48

問48 取引相場のない株式の評価

《問48》 財産評価基本通達上の取引相場のない株式の評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 直前期末以前1年間における従業員数が70人以上の評価会社は、評価会社の総資産価額および取引金額の多寡にかかわらず、大会社となる。

2) 就業規則等で定められた1週間当たりの労働時間が30時間未満である従業員は、会社規模の判定上、直前期末以前1年間における従業員数に反映されない。

3) 類似業種比準価額は、類似業種の株価ならびに1株(50円)当たりの年配当金額、年利益金額および純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)などに基づき計算する。

4) 配当還元方式において、評価会社が直前期末以前2年間において無配である場合、配当還元価額の計算上、1株(50円)当たりの年配当金額は2円50銭とする。

正解2

ツルさん
ツルさん

類似業種批准法の計算は応用編で何パターン解いたかわからないね。最初は小数点2位以下を切り捨てを間違えて1位以下にしたり、四捨五入したりして苦労した覚えがある。他の科目でもそうだけど、計算式を日本語で表現するのって案外、難しいんだよね。

カメさん
カメさん

1)従業員数が70人以上は無条件で大会社だね。

2)これが不適切だね。30時間以上働いている人は1人としてカウントするけど、30時間未満の人はカウントする計算式があるよ。

3)4)は問題文そのままだね。批准要素1の会社とかもそろそろ出題の予感がするから、1月受験生はマークしといたほうがいいかもね。

問49  使用貸借に係る土地

《問49》 使用貸借に係る土地についての相続税および贈与税の取扱い等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 子が、親から建物の所有を目的として使用貸借により土地を借り受ける場合、借地権の設定に際し、その設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払う取引上の慣行がある地域においても、当該土地の使用貸借に係る使用権の価額は、ゼロとして取り扱われる。

2) 子が、親から建物の所有を目的として土地を借り受ける場合、子と親との間に当該借受けに係る土地の公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものは、土地の使用貸借に該当するものとして取り扱われる。

3) 子が、親が有する借地権の目的となっている土地の所有権(底地)を地主から購入し、親が無償で子から土地を借りることになった場合、「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を提出しなければ、子から親に借地権の贈与があったものとして取り扱われる。

4) 子が、借地権を有する親からその借地権の目的となっている土地を使用貸借により借り受け、その土地上に建物を建築して「借地権の使用貸借に関する確認書」を提出する場合、当該確認書には、子、親および地主の署名が必要とされる。

正解3

ツルさん
ツルさん

基礎編の不動産と相続・事業承継の後半の問題は一般社団法人金融財政事情研究会の実技試験でも論点になることが多いので、実技試験を受験する方は、基礎編の後半部分を復習することをお勧めするよ。

カメさん
カメさん

1)使用貸借において、使用権は0だね。正しいよ。親子間ではよくあることだね。

2)これも正しいね。公租公課は使用している子が負担すべきものだからね。

3)「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」も実技試験でよく見る書類だね。

この文章も解釈に苦しむけど、これが不適切だね。この内容については、引き続き考えます。

4)これは適切だね。文章に不自然な点もないしね。

問50 遺留分に関する民法の特例

《問50》 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律による「遺留分に関する民法の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) 本特例の対象となる特例中小会社は、資本金の額または常時使用する従業員の数について業種に応じた基準を満たし、かつ、5年以上継続して事業を行っている非上場会社に限られる。

2) 本特例の適用を受けるためには、本特例の適用に係る合意をした日から1カ月以内に経済産業大臣の確認を申請し、当該確認を受けた日から1カ月以内にした申立てにより家庭裁判所の許可を受ける必要があるが、その申請および申立ては、後継者が単独で行うことができる。

3) 後継者が旧代表者から贈与を受けた非上場株式について除外合意をする際に、併せて、後継者が旧代表者から贈与を受けた非上場株式以外の財産の価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをする場合、その定めの対象となる財産は、特例中小会社の事業に係る不動産および減価償却資産に限られる。

4) 後継者が旧代表者から贈与を受けた非上場株式について固定合意をする場合、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき当該非上場株式の価額は、原則として、贈与時点における相続税評価額とされる。

正解2

ツルさん
ツルさん

いよいよ最終問題だね。個人的に問1と問50は絶対間違えたくないんだよね。自己採点したときに、最初と最後が〇だど、何かできたような気がするし、問50が自信を持って答えられると、昼休みの応用編の勉強にも気合が入るしね。

カメさん
カメさん

1)3年以上継続して事業を行っているが正しいね。こういう微妙なところも覚えていないといけないね。

2)経済産業大臣→家庭裁判所それぞれ1カ月以内というのは記憶必須だね。これは定番で実技試験でも口頭で説明できるようにしておく必要があるね。

3)これはちょっと難解だね。除外合意できるのは不動産および減価償却資産に限らないよ。

4)固定合意をする場合、相続税評価額でなく弁護士、公認会計士、税理士の証明が必要になるよ。これも実技試験で問われることのある内容だね。

おわりに

これまでライフプランニングから相続・事業承継まで6科目の学科試験基礎編の2024年9月に出題された問題を見てきました。

しかし、まだ半分です。同日の午後、行われた応用編の解説が残っています。

9月に受験をされた方については10月27日の合格発砲までドキドキの時間を過ごしておられるかもしれません。

私も、いったん試験の記事投稿を中断して応用編の解説は11月を目安に行いたいと思います。

これから、しばらくは一般社団法人金融財政事情研究会の実技試験の分析を私なりに行ってみたいと思います。

また、ネタが浮かんだら由研究の原稿を作成したいと思いますので、よかったら読んでください。

    ABOUT ME
    カメの歩
    カメの歩
    1級FP技能士
    FP試験に挑戦しようとしている方の参考にしていただきたいため ブログを開設します。 私は1級障がい者で右目が見えません。そんな私でも、 あきらめず勉強を続けることで学科試験に合格することができました。 応援してくれた家族と幸運に感謝しつつ、恩返しのつもりで。 これまでの勉強法や、科目ごとのポイントを書いていきます。 一人でも多くの方に見ていただき、FP受験者の中から合格していただくのが、 今の私の目標です。
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