2025年9月14日基礎編相続・事業承継を解いてみた

長かった基礎編の解説もいよいよ最後です。
「百里を行く者は九十を半ばとす」
私のFP試験挑戦はまさにこの言葉どおりだったと思います。
いったんは心臓病と失明であきらめかけ、気を取り直して受験を決意したものの、2023年5月の合格率3.51%に挫折し、それでもあきらめないと決めたけど、合格できずやっと2024年5月に学科試験合格をつかむことができました。
その後の実技試験については、いったん置いておいて、学科試験の最後、相続・事業承継について私なりに解説をしたいと思います。
今回も出所:一般社団法人金融財政研究会です。
問42
《問42》 贈与税の課税財産等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 1) 子が父から著しく低い価額の対価で土地を譲り受けた場合、原則として、子が、その相続税評価額と支払った対価の額との差額を、父から贈与により取得したものとみなされる。 2) 兄・弟・妹の3人で購入し、共有している土地について、兄がその持分を放棄した場合、その持分は弟・妹に帰属し、兄に係る持分を弟・妹が各自の持分に応じて贈与により取得したものとみなされる。 3) 元夫が所有する居住用マンションを元妻に財産分与した場合、原則として、元妻が取得した当該マンションは、贈与により取得したものとされない。 4) 債務者である子が資力を喪失して債務を弁済することが困難となり、父が当該債務を弁済した場合、弁済された金額のうち債務を弁済することが困難である部分の金額は、贈与により取得したものとされない。 |
正解1

相続の問題って登場人物が多いとか、ややこしかったりするから、時間を見ながらだけど、簡単に家系図を書いて考えるといいかもしれないね。ちょっとした勘違いで答えが変わることがよくあるからね。

1)贈与税がかかるのは支払った対価と時価との差額だね。相続税評価額ではないね。よってこれが誤りだね。
2)これは、問題文の通りだね。こういう類の問題も実技試験で狙われるとここだね。
3)これは財産分与が夫婦間における共有財産の清算、あるいは離婚後の生活保障とみなされるため贈与税はかからないんだね
4)これも実技試験で何度も登場する論点だね。この場合は贈与とはみなされないんだね。
問43
《問43》 Aさん(30歳)は、事業資金として、2025年9月に父Bさん(64歳)から現金600万円、母Cさん(58歳)から現金300万円、兄Dさん(36歳)から現金200万円の贈与を受けた。Aさんの2025年分の贈与税額として、次のうち最も適切なものはどれか。な お、いずれも贈与税の課税対象となり、父Bさんからの贈与については、初めて相続時精算課税を選択するものとする。また、Aさんは2025年中にほかに贈与は受けていないものとする。 〈贈与税の速算表(一部抜粋)〉 |
基礎控除後の課税価格 | 特例贈与財産 | 一般贈与財産 | |||
税率 | 控除額 | 税率 | 控除額 | ||
万円超 万円以下 | |||||
~ 200 | 10% | ─ | 10% | ─ | |
200 ~ 300 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 | |
300 ~ 400 | 15% | 10万円 | 20% | 25万円 | |
400 ~ 600 | 20% | 30万円 | 30% | 65万円 |
1) 485,000円 2) 503,000円 3) 530,000円 4) 640,000円 |
正解2

ポイントは父の贈与600万円(相続時精算課税)をどう扱うかだね。これに惑わされると泥沼にはまる問題かもね。
あくまで父は相続時精算課税制度を使い、母と兄は普通の贈与だから、一旦、父の贈与は忘れて、母と兄の贈与について考えればいいね。

母の贈与300万円+兄の贈与200万円―基礎控除110万円=390万円
母の贈与(特例贈与)(390万円×15%―10万円)×300万円/500万円=291,000円
兄の贈与(一般贈与)(390万円×20%―25万円)×200万円/500万円=212,000円
291,000円+212,000円=503,000円 よって2)が正解だね。
問44
《問44》 相続に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 1) 相続人が被相続人の兄と妹の2人である相続において、兄は被相続人と父母を同じくするが、妹は被相続人と父母の一方のみを同じくする場合、兄の法定相続分は3分の2となる。 2) 共同相続人の1人が、遺産の分割前に、その相続分を共同相続人以外の第三者に譲渡した場合、他の共同相続人は、所定の期間内にその価額および費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。 3) 被相続人に子と孫がおり、子と孫が親子である場合において、孫は、子が被相続人の相続開始前に死亡していたときや相続人の欠格事由に該当したときは代襲相続人となるが、子が相続の放棄をしたときは代襲相続人とならない。 4) 被相続人の相続開始後、特別寄与者が複数の相続人に対して特別寄与料の支払を請求した場合、各相続人が負担する額は、原則として、特別寄与料の額に各相続人が相続財産を実際に取得した割合を乗じた額となる。 |
正解4

相続の問題に限らないけど、長文で意味を見失ってしまいそうな問題だね。 法律の専門家だとポイントが見つけれるのかもしれないけど、難しい選択肢ばかりだね。

1)ややこしいけど、これは正解だね。半血兄弟は全血兄弟の2分の1の法定相続分があると覚えておくといいと思う。
2)これも正しいね。この内容は民法第905条に規定された「相続分の取戻権」に定められているね。
3)これも正しよ代襲相続人は応用編でよく出題されるけど、相続放棄した時の事例は見たことない気がする。今後、出題されるんだろうか。
4)各相続人が負担する額は、原則として、特別寄与料の額に各相続人が相続財産を実際に取得した割合を乗じた額となる。わけではなく、相続人の協議で決めることになっているよ。
問45
《問45》 相続の承認および放棄に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 1) 被相続人である夫に支給されるべき国民年金の年金給付のうち、まだ支給されていなかったもの(未支給年金)を被相続人の妻が受け取った場合、妻は、原則として、夫の相続について単純承認をしたものとみなされる。 2) 契約者(=保険料負担者)および被保険者を父、保険金受取人を子とする生命保険の死亡保険金を子が受け取った場合、子は、原則として、父の相続について単純承認をしたものとみなされる。 3) 限定承認をする場合に、共同相続人のうちに相続の放棄をした者がいるときは、その放棄者を除いた全員が共同して家庭裁判所に限定承認をする旨を申述しなければならない。 4) 相続人が被相続人の妻と未成年の子の2人のみであって、妻と子が同時に相続の放棄をする場合、妻は、子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。 |
正解3

難解な問題は、わかる選択肢だけども〇×判定して、選択肢を絞るというのも重要になるね。この問題も正解は比較的わかりやすいよ。

1)これは不適切だね。未支給年金は妻の固有の財産とみなされるため、受け取っても相続放棄は可能だよ。
2)これも不適切だね。死亡保険金は受け取った人の固有の財産だね。
3)これが正しいね。この選択肢はそのまま覚えることをお勧めするね。
4)利益相反になる場合は、選択肢の通りだけど、そうでない場合は妻が子に代わって放棄することが可能だね。
問46
《問46》 相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は日本国籍と国内住所を有しており、被相続人の債務等は相続により財産を取得した相続人が負担するものとする。 1) 被相続人が生前に知人から借り入れた借入金で、相続開始時に未返済であったものを相続人が返済する場合、その借入れに係る契約が書面によらずになされたものであるときは、その借入金は債務控除の対象とならない。 2) 被相続人が生前に購入した墓碑の購入費で、相続開始時に未払いであったものを相続人が支払う場合、その購入費は債務控除の対象となる。 3) 被相続人の1月1日から死亡日までの所得金額に係る所得税を、準確定申告において相続人が納付する場合、その所得税は債務控除の対象とならない。 4) 被相続人が所有していた不動産に係る固定資産税のうち、相続開始時点で納税義務は生じているが、納期限が到来していない未払いの金額を相続人が支払う場合、その未払いの金額は債務控除の対象となる。 |
正解4

債務控除も頻出だね。代表的なものは覚えておくと、選択肢のいくつかだけでも切れると思うよ。

1)契約は書面によらない口約束でも有効だと聞いたことがあるけど、亡くなった人の口約束って証明が難しいよね。しかし、これは適切だね。
2)これは頻出だね。墓碑の未払い金は債務控除の対象外だね。
3)これも頻出だね。準確定申告は債務控除の対象になるよ。
4)これが正解だね。固定資産税もよく出題されるテーマだね。
問47
《問47》 相続税の申告および納付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 1) 未分割の相続財産に基づく相続税を申告期限内に納付し、申告期限後に成立した遺産分割協議に従って計算した相続税額が、既に納付した相続税額よりも増加した相続人は、原則として、修正申告書の提出時に、その差額とあわせて、申告期限から修正申告書の提出日までの期間に応じた利子税を納める必要がある。 2) 祖父の相続により財産を取得し、相続税の申告書を提出する必要がある父が、申告期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合、父の相続人である子は、原則として、父の相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、父に代わり、祖父の相続に係る当該申告書を提出しなければならない。 3) 相続税の延納の許可を受けるにあたって、延納税額が100万円以下で、かつ、その延納期間が3年以下である場合は、担保の提供が不要とされている。 4) 相続税の延納の許可を受けた者が、その後の資力の変化等により、納付方法を物納に変更する場合、当該物納に係る財産の収納価額は、原則として、当該物納に係る申請の時の価額による。 |
正解1

これも何気に難しい選択肢があるね。ひたすらわかる選択肢を切っていって、わからないものはエイヤーしか無いかもね。

1)この場合、申告期限内に申告し納税していれば利子税はかからないので誤りだね。
2)数次相続は10カ月以内で正しいね。意外にこれも実技試験で狙われるところだね。
3)これもよく見る選択肢だね。正しいよ。
4)これも頻出だね。資産は相続時と申請時で価格が変わることもよくあるからね。
問48
《問48》 取引相場のない株式の相続税評価における特定の評価会社に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 (a) 課税時期において特定の評価会社に該当する会社の株式を同族株主以外の株主等が取得した場合、当該株式の価額は、その会社が資産の保有状況、営業の状態等に応じ、いずれの特定の評価会社に該当したとしても、配当還元方式により算出した価額によって評価する。 (b) 課税時期において直前期末における1株当たりの配当金額、1株当たりの利益金額および1株当たりの純資産価額(帳簿価額)の3つの比準要素の金額のうち、いずれか2つがゼロであれば、直前々期末以前における3つの比準要素の金額にかかわらず、比準要素数1の会社に該当する。 (c) 課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める土地等の価額の合計額の割合が50%以上である会社は、業種や会社の規模にかかわらず、土地保有特定会社に該当する。 1) 1つ 2) 2つ 3) 3つ 4) 0(なし) |
正解4

あたりまえだけど、いくつあるか問題は問題文を全部読まないといけないんだよね。
通常の〇×問題は正解を見つけたら、残りの選択肢を読まなくても済むんだけど。
いろいろな意味で厳しい問題だよね。

(a) 特定の評価会社は「純資産価額方式」で評価するのが正しいと思う。
(b) 直前々期末を基準にして同様に3つの比準要素の金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2つ以上が0の評価会社だから、前々期も関係するね。
(c) 土地保有特定会社に該当するかどうかは、会社の規模(大会社、中会社、小会社)によって土地保有割合の判定基準が異なるよ。大会社では70%以上、中会社では90%以上。
50%は株式保有特定会社だね。
よって正解なのは4) 0(なし)だね。
問49
《問49》 財産評価基本通達上の宅地の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 1) 特定路線価とは、路線価地域内において、相続税や贈与税の課税上、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合に、当該道路を路線とみなして当該宅地を評価するための路線価であり、納税義務者からの申出等に基づき設定される。 2) 倍率方式により評価する宅地の価額は、原則として、当該宅地の固定資産税評価額に国税局長が一定の地域ごとにその地域の実情に即するように定めた倍率を乗じて計算した金額に、当該宅地の形状にあわせて、奥行価格補正や側方路線影響加算等を行って評価する。 3) 地積規模の大きな宅地とは、市街化調整区域内に所在する、三大都市圏においては500㎡以上、それ以外の地域においては1,000㎡以上の地積を有する一定の宅地であり、当該宅地の価額は、地積の規模に応じた規模格差補正率を用いて評価する。 4) 将来、建物の建替え時等に建築基準法の規定に基づき道路敷きとして提供しなければならない部分(セットバック部分)を有する宅地において、当該セットバック部分の価額は、道路敷きとして提供する必要がないものとした場合の価額の70%に相当する価額によって評価する。 |
正解1

土地が相続・事業承継に大きく関係するからだろうけど、不動産分野の問題かという内容だよね。
不動産や相続で土地の価格を求める問題が出ることがあるけど、注意が必要だよ。

1)これが正しいよ。実際、田舎には路線価が設定されていない道路に面している土地って結構あるもんね。
2)奥行価格補正や側方路線影響加算は倍率方式により評価する宅地には適用されないよ、適用されるのは路線価方式で算定される土地についてだね。
3)地積規模の大きな宅地とは、市街化調整区域内が正しいね。市街化調整区域内では設定されないね。
4)セットバック部分の価額は70%を控除した30%で評価されるよ。
問50
《問50》 「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 1) 本特例の適用を受けるにあたって、後継者は、先代経営者の相続の開始の日の翌日から3カ月を経過する日において会社の代表権を有している必要がある。 2) 本特例の適用を受けるためには、相続税の申告書の提出期限までに、納税が猶予される相続税額および利子税の額に相当する担保を提供する必要があるが、本特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、原則として、当該相続税額および利子税の額に相当する担保が提供されたものとみなされる。 3) 本特例の適用を受けた後継者が、特例経営承継期間内に死亡した場合、当該後継者の相続人は、本特例に係る免除届出書を提出することにより、先代経営者に係る相続税の申告期限の翌日から当該後継者が死亡した日までの期間に係る利子税の額の納付が免除されるが、納税が猶予された相続税額の納付については免除されない。 4) 本特例の適用を受けた後継者が、特例経営承継期間の経過後に会社の代表権を有しなくなった場合、特例経営承継期間が経過した日から後継者が会社の代表権を有しなくなった日までの期間に応じて、納税が猶予された相続税額のうち一定の金額を納付しなければならない。 |
正解2

ラストはお決まりのひとつ、「相続税の納税猶予及び免除の特例」だね。実技試験の勉強をし始めてから、これが実技で頻出だっていうことを知ったね。 微妙に変更があったりするから、直前に確認しておいた方あいいね。

1)相続後3カ月でなく6カ月が正しいね。よってこれは間違い。
2)これが適切だね。この選択肢は過去にも見たことがある気がする。
3)これは正確な知識が無いよ。ネット検索等で推察するのは、亡くなった場合は相続税額の納付については免除されるのではないかということだね。
4)この代表権を有しなくなったという書き方があいまいだよね。M&Aしたなら猶予されていた相続税と利子税などを支払うだろうけど、次の後継者に承継したなら、納税猶予は続くだろうし。私の能力ではこの選択肢を読み解くことはできないな。
今週かけて、2025年9月14日FP1級試験基礎編の問題を、解いてみて、解説といってはおこがましいですが、私なりの説明をさせていただきました。
問50の選択肢3)4)で歯切れの悪い幕引きとなってしまいましたが、この試験に関わらず、挑戦なんてそんなものかもしれません。
達成感に溢れていると言えればよかったのですが、まだまだ勉強は道半ばです。
これからやるべきは、勉強の力を生きる力に変えていくことだと思います。
何で私がFPの勉強を始めたのか、、、それはお金が欲しかったからです。(笑)正確に言えばお金を稼ぐスキルを身につけたかったからです。
しかし、勉強していくうちに、もう一つ目標ができました。文字と言葉でお金についての知識を伝えられるようになることです。
ここまでブログを見ていただきありがとうございます。
皆さんと一緒に成長していきたいと思います。
初心忘るべからず。(出所:世阿弥)