M&A

そもそもM&Aとは
昭和世代の私にとってM&Aというのは都市銀行の合併のイメージである。
最近の方は馴染みが無いかもしれないが、かつては「太陽神戸三井銀行」とか「三菱東京UFJ」銀行など、数行が合併するイメージであり、少なくとも大企業の話、
または、大企業が中小または零細企業を吸収合併するイメージです。
また、敵対的買収などがニュースになりやすく、M&Aのイメージが悪い人も多くいると思います。
しかし、FP試験で扱われるM&Aは、むしろ中小・零細企業の事業の存続、従業員の雇用の存続のための有効な手段として扱われることが多いです。
専門的に扱っている金融機関、コンサルティング会社などの方にとっては、もっと細分化された具体的な説明があると思うのですが、ここではFP1級実技試験で扱われる内容に特化して解説を試みたいと思います。
M&Aの種類
下記、資料によると「事業譲渡が41.0%と最も多く、次いで株式譲渡が40.8%となっており、続いて合併の15%となっています。」
出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「成長に向けた企業間連携等に関する調査」2017年11月
FP実技試験では、これに加えて株式分割を挙げている例を多く見かけます。
株式譲渡
自社株式を譲渡する形で経営権を移譲するM&Aの手法です。
手続きが比較的簡便で最も多く用いられているM&Aの手法です。
事業譲渡
会社全体を売買対象とするのではなく、売却する事業と残す事業を選ぶ手法です。
売却する事業と残す事業の選別が可能ですが、従業員、取引先への説明を行い、理解を得る必要があります。
合併
複数の会社をひとつに統合するM&Aの手法です。
以前は、M&Aといえば合併のイメージだった方も多いと思います。
会社分割
事業に関する権利義務を他の会社に引き継がせるM&A手法です。
株主総会の特別決議が必要になります。
そのほかにも、第三者割当増資、株式交換、株式移転などの手法があり、顧客の状況を確認しながら、概要を説明する必要はあると思います。
ただし、個別具体的なアドバイスについては、税理士、公認会計士などの資格者の占有業務となる可能性があるため、慎重に対応することが必要です。
企業価値評価
M&Aにおいては会社の価値を売主、買主の合意のもと決定する必要があります。
この価格の決定方法として、インカムアプローチ、マーケットアプローチ、コストアプローチが出題されることがあります。
インカムアプローチ・・・将来キャッシュフローに基づく評価手法
例)DCF法、収益還元法
マーケットアプローチ・・・同業他社で上場企業などの株価を参考にする評価手法
例)類似業種批准法、市場株価平均法
コストアプローチ・・・会社の貸借対照表に基づく評価手法
例)時価純資産法、簿価純資産法

M&Aってニュースになることもあるし、聞いたことあるけど
上場している大企業だけの話だと思っていたけど、
むしろ、中小・零細企業の事業承継の選択肢なんだね

FPとしては、あくまで一般知識の伝道に徹して、
専門的な内容になったら紹介できる税理士や弁護士とも人脈を作っておくことも重要だね。