応用編攻略スタート

FP1級合格のカギは応用編で7割を目指すことです。全体では200点中120点で合格となるため、基礎編、応用編それぞれ6割を目指すのが普通と思われるかもしれませんが、過去3年間勉強し、受験した経験からいって、
基礎編=5割、応用編=7割を目指すのが必勝パターンであると私は考えています。
理由は、基礎編は出題範囲が広く、学習に時間がかかること。一見、わかりやすい出題と思いきや、ひっかけ問題も多く、予想外の失点があること。
いかんせん、全体を網羅しようとすると範囲が広すぎて挫折してしまう方が多いと思います。
これに対して応用編は、定番問題が多く、それを抑えることで、一定の得点が確保できること。
しかし、注意が必要なのは、この後の過去問分析で述べますが、実は回によって合格率がバラバラで10%を下回っている回は、応用編で難問が出題されたと考えていいと思います。
私の結論としては、難問が出たらあきらめる。ということだと思います。
それより、普通の回で、多くの受験生が得点できる問題を落とさないことが合格への近道だと思います。
過去問分析
FP1級学科試験は1月、5月、9月の年3回行われます。
問51~53ライフプランニング
問54~56 金融資産運用
問57~59 タックスプラニング
問60~62 不動産
問63~65 相続・事業承継
からそれぞれ出題され、配点は公表されていませんが、各分野20点として採点されていると思われます。
過去9回の過去問を3回ごとに区切って表にしてみました。
2024.9 | 2025.1 | 2025.5 | |||||||
問51 | 健康保険の保険給付 | パートタイム労働者の社会保険の取扱い | 65歳以降の社会保険、在職老齢年金 | ||||||
問52 | 介護保険 | ①老齢基礎年金 ②老齢厚生年金 | ①老齢基礎年金 ②在職老齢年金による支給調整後の老齢厚生年金の年金 | ||||||
問53 | 遺族厚生年金 | 勤務した場合の公的年金の受給 | 退職後の公的医療保険 | ||||||
問54 | 複数の財務指標による指標値算出 | 複数の財務指標による指標値算出 | 複数の財務指標による指標値算出 | ||||||
問55 | 実績収益率・標準偏差・相関係数 | 損益分岐点比率 | 株式取引の方法等 | ||||||
問56 | 信用取引 | 個人向けに販売される国債・債券の投資指標 | 期待収益率・標準偏差 | ||||||
問57 | 青色申告 | 略式別表四 | 略式別表四 | ||||||
問58 | 退職所得・事業所得 | 法人税額 | 法人税額 | ||||||
問59 | 所得税および復興特別所得税の申告納税額 | 賃上げ促進税制 | 法人税および消費税 | ||||||
問60 | 建築基準法の道路および固定資産税 | 特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例 | 固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例 | ||||||
問61 | ①特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例 ②「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例 | 特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例 | ① 課税長期譲渡所得 ②所得税および復興特別所得税、住民税 | ||||||
問62 | 建蔽率・容積率 | 建蔽率・容積率 | 建蔽率・容積率 | ||||||
問63 | 類似業種比準価額 | 小規模宅地の特例 | 類似業種比準価額 | ||||||
問64 | ①純資産価額および②類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額 | 相続税の総額・相続人が納付する相続税額 | ①純資産価額および②類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額 | ||||||
問65 | 贈与税の配偶者控除 | 相続開始後の手続等 | 相続(遺留分・直系尊属から住宅取得等資金の贈与) |
2023.9 | 2024.1 | 2024.5 | |||||||
問51 | 在職老齢年金・在職定時改定・退職改定 | 労働者災害補償保険社会保険 | 雇用保険の高年齢雇用継続給付・高年齢求職者給付金 | ||||||
問52 | 公的年金額の改定 | 障害厚生年金・障害手当金公的年金 | 介護休暇・介護休業・雇用保険の介護休業給付金 | ||||||
問53 | ①老齢基礎年金 ②老齢厚生年金 | ①障害基礎年金 ②障害厚生年金 ③障害補償年金 | ①老齢基礎年金 ②老齢厚生年金 | ||||||
問54 | 複数の財務指標による指標値算出 | 日本銀行の金融政策・イールドカーブマーケット環境の理解 | 複数の財務指標による指標値算出 | ||||||
問55 | ポートフォリオ運用 | 財務データの分析株式投資 | ROA(使用総資本事業利益率)、インタレスト・カバレッジ・レシオ | ||||||
問56 | 標準偏差・相関係数 | 標準偏差・相関係数 | NISA(少額投資非課税制度) | ||||||
問57 | 減価償却 | 略式別表四 | 略式別表四 | ||||||
問58 | 青色申告 | 法人税額 | 法人税額 | ||||||
問59 | 所得税の算出税額 | DX投資促進税制・同族会社法人税 | 法人税の欠損金の繰越控除・繰戻還付、確定申告・中間申告 | ||||||
問60 | 用途地域・普通借家契約・定期借家契約 | 居住用財産の譲渡特例不動産の譲渡に係る税金 | 宅地建物取引業法・居住用財産の譲渡所得の特例 | ||||||
問61 | 建蔽率・容積率 | 建蔽率・容積率 | 居住用財産の譲渡所得の特例適用後の所得税・住民税 | ||||||
問62 | 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除・取得費加算の特例後の所得税・住民税 | 建設業者の瑕疵担保責任等不動産に関する法令上の規制 | 建蔽率・容積率 | ||||||
問63 | 小規模宅地の特例 | 類似業種比準価額 | 小規模宅地の特例 | ||||||
問64 | 相続税の総額・相続人が納付する相続税額 | ①純資産価額および ②類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額 | 相続税の総額・相続人が納付する相続税額 | ||||||
問65 | 個人版事業承継税制・相続税の配偶者控除 | 非上場会社の事業承継 | 遺留分・相続税の延納 |
2022.9 | 2023.1 | 2023.5 | |||||||
問51 | 特別支給の老齢厚生年金・在職老齢年金 | 健康保険の療養の給付・保険外併用療養費 | 雇用保険の基本手当・高年齢再就職給付金 | ||||||
問52 | ①老齢基礎年金 ②老齢厚生年金 | 高額療養費 | 雇用保険の再就職手当・就業促進定着手当 | ||||||
問53 | 健康保険・国民健康保険 | ①遺族基礎年金 ②遺族厚生年金 ③遺族年金生活者支援給付金 | ①老齢基礎年金 ②老齢厚生年金 | ||||||
問54 | 株式取引の決済日・取引方法・権利確定日 | 複数の財務指標による指標値算出 | 株価の分析手法 | ||||||
問55 | ROE(自己資本当期純利益率)・ROA(使用総資本事業利益率) | 変動費率・営業利益・損益分岐点売上高に | 配当割引モデル・株価キャッシュフロー倍率 | ||||||
問56 | トラッキング・エラー、シャープ・レシオ、インフォメーション・レシオ | 外貨建て債券の利回り | サスティナブル成長率、イールド・スプレッド | ||||||
問57 | 略式別表四 | ①総所得金額に算入される一時所得の金額 ②雑所得 ③総所得金額 | 略式別表四 | ||||||
問58 | 法人税額 | 医療費控除・医療費控除の特例(セルフメディケーション税制) | 法人税額 | ||||||
問59 | 賃上げ促進税制・中小企業経営強化税制 | 住宅ローン控除 | 法人税の確定申告・中間申告・青色申告 | ||||||
問60 | 建蔽率・容積率 | 建築基準法 | 固定資産の交換の特例適用後の譲渡所得・所得税・住民税 | ||||||
問61 | 建築物の高さ制限・不動産取得税・固定資産税 | 特定の事業用資産の買換え特例 | 建蔽率・容積率 | ||||||
問62 | 居住用財産の譲渡所得のの特例適用後の所得税・住民税 | 建蔽率・容積率 | 建築物の高さ制限・外壁後退 | ||||||
問63 | 類似業種比準価額 | 取引相場のない株式の評価方法 | 貸家建付地・自用地の相続税評価額 | ||||||
問64 | ①純資産価額および ②類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額 | 類似業種比準価額 | 相続税の課税価格・総額・納付税額 | ||||||
問65 | 遺留分に関する民法の特例、非上場株式の相続税の納税猶予・免除 | 純資産価額方式による株価算定 | 遺言・直系尊属からの住宅資金贈与の非課税 |
定番問題を知る
応用編では、分野ごとに定番問題が存在します。
結論としては、この定番問題を落とさないことが合格には必要です。
誰でも得意、不得意があると思います。自分の得意分野で確実に得点を積み上げることが合格への近道になります。
試験は誰も緊張します。本番中に「できた」という感触をつかむことで、気持ちに余裕が産まれます。
各分野で抑えたいこと
過去約5年分をさかのぼって検証してみて、私なりに頻出の問題をピックアップしました。
ライフプランニング
老齢年金
遺族年金
障害年金
金融資産運用
複数の財務指標による指標値算出
標準偏差
損益分岐点比率
ROA(使用総資本事業利益率)
インスタントカバレッジレシオ
外貨建て債券の利回り
タックスプランニング
略式別表四
白色申告
青色申告
不動産
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除
居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例
固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例
空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除・取得費加算の特例
相続・事業承継
類似業種比準価額
小規模宅地の特例
次回は私なりの解答の順番などについても紹介したいと思います。
みなさん得意、不得意があると思いますが、原則、得意科目から解き始めるのが定番だと思います。
解答用紙が埋まっていけば、試験中に何割くらいできているか実感でき、心に余裕が産まれます。
ストレスがかかる試験においては、この心の余裕が非常に重要です。
1週間に1~3テーマを目標に記事を掲載したいと思いますので、お付き合いください。